*日時:2005年12月26日 午後1時〜午後5時 *会場:都立東村山高校 *参加:9名(だったような) !!!内容 !近隣地域高校間における連携授業(発表者:都立東大和高校 今井さん) *国際交流を取り入れた情報教育を展開することが目標,と語る今井さんによる発表.まず,2005年の夏に台湾を訪れた際に現地の高校を見学した,とのことでその報告のWEB(http://www.geocities.co.jp/daisuke_imai777/taiwan.htm)をもとに,実際の学校の様子や情報教育への取り組み状況を教えてくださいました.まだ交流授業をもつまでには至っていない,とのことですがその後の展開が楽しみです. *次に,東大和高校,東村山高校,武蔵村山高校による「東と村のネットワークプロジェクト」を紹介.東大和高校チームがプロジェクトリーダーとなり,「中学生向けの高校紹介WEBを作成する」をテーマに各校チームが6班に分かれ,協力しながら作品を製作する.しかし,各校とも時間割の都合上,同時に授業を実施することはできない.そこで,工夫した点は以下の3点. **東大和チームがテーマを決め,東村山チーム・武蔵村山チームから共同作業者を募集 **作品製作はチームごとに行い,作業が完了したら次のチームへ引き継ぐ **作業スケジュールと,作業した時点でどこまで進んでいるかを表計算ソフトでまとめ,作品とともに次のチームに渡す. *この工夫によって,実習を行なう時間が異なっていてもコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めることを実現.「自分達の作業の向こうに相手校チームがいる」ということを実感しながらの授業は,言葉使いのあり方等含め,生徒にとっても刺激的で充実感あるものだったようだ. *指導面での工夫は,実習の導入において,各校の初回でメッセンジャーソフトを使っての挨拶をし,コミュニケーションを意識した雰囲気を作るところ,Web上に設けた作業用スペースにアップロードできるファイルのタイプに限りがあったため,伝達事項をまとめた表計算ソフトのファイルについては教員間で電子メイルを使ってやりとりしたこと,文字のみで意思を伝達しなければならないことから,企画の立案や作業記録は他校の作業者が理解できる表現をこころがけるよう指導したこと,等であった. *最後に,実際に生徒が作成したページも見せていただいた.質疑も沢山出て盛り上がった発表でした. !フィンランドの教育に学ぶ日本の情報教育の今後(千葉県立行徳高校 福島さん) *福島さんには,北川達彦:「図解 フィンランドメソッド入門」(経済界),福田誠治:「競争しなくても世界一 フィンランドの教育」(国民教育文化総合研究所)に基づいて,これからの情報科を見据えた情報提供をしていただきました. *OECDの学力調査で上位に名を連ねるフィンランド.そこで,日本とフィンランドの教育の相違点に着目し,そこから分かる「日本の教育に足りないものやマイナスなもの」を分析して,教科「情報」として何か貢献できることがないかを模索しよう,と福島さん. *フィンランドの教育手法で日本のものと相違がみられる点としては,次の4点が指摘された. **生徒参加・グループ学習 **問題発見・解決型(コーチング方式) **社会構成主義的な学習概念(知識には何らかの目的や価値観が前提になっていることを認めること,知識は社会的な脈絡の中でつくられていくものとみなすこと) **作品創作型の国語教育 *また,フィンランドでの学習者のモチベーションについて特徴的なものは次の3点. **「なぜ,その知識が必要なのか?」から出発 **自分の人生に必要な知識を自ら求め知識を構成し意味付けする **教科書はひとつの資料や案内に過ぎないと考える *これをみると,日本にみられがちな「試験が終われば忘れてしまう」勉強態度や,「何のために○○を勉強するの?」という言葉を「自分から探求しない」言い訳にしてしまうことなどと比べて,インテリジェンスな活動がなされているようである.たとえば,フィンランドにおける国語教育で実践されていることとして福島さんが挙げてくださったものは次の4点. **カルタを使って物語を分析したり,連想する **意見を述べる際には必ず理由を求める,論理力の育成 **ショートストーリの創作を通しての,表現力の育成 **作品の相互評価・改善を通しての,批判的な思考力の育成 *これを踏まえて,福島さんが提案する教科「情報」での授業作りは次の4点. **国語教育との連携 **上記のようなフィンランドメソッドの取り入れ **生徒のモチベーションを持たせた上での教科内容や授業の組み立て **自ら考え,時には健全な批判をし,相手の立場を理解した上でのコミュニケーションを取れるスキルの修得 *様々な資料を回覧させていただきながら非常にためになるお話を聴くことができて,授業を組み立てる側にとってモチベーションが上がりました.質疑でも,論理的思考力を育成する授業のネタや他教科での実践例の提供など,大いに盛り上がりました. !情報量 2つのアプローチ(都立大泉高校 田崎) *どうやって情報量を説明しようか?体験してもらおうか?理論的な側面から,そして技術的な側面から考えてみました.今年度はどう説明しようか・・・内容に関する資料あり.(このページの一番下に添付ファイルへのリンクあり.2月11日にファイルを更新しました) *ちなみに,はじめのスライドのレンガは,東急ハンズで売っていた,発泡スチロールです.それが実際何であるかを内緒にして,(しかも「レンガ」とか言っておいて)参加者に向かって投げてみました.驚いてくれた今井さん,ありがとうございました.テレビの画面を通して見る映像から得られるものは何だろう?という問いかけのつもり. !若手教員がちょっと相談 *(悩める相談者:大泉高校の田崎,中身は恥ずかしいので内緒) *でもこの相談をきっかけにして,「わかりにくい表現をいかに改善するか」と考えさせるためのアイディアや,問題解決的な授業の進め方に関して意見が出された.相談した本人もそうだが,会場で知識を共有できたことは大きなメリットですね.